「ドッグセラピー」という言葉を聞いて、まず思い浮かぶのは、セラピー犬と対象者がふれあっている場面ではないでしょうか?
実際に、犬を撫でながらふれあう様子は頻繁にみられる光景ですが、対象者の方は、どのように犬を撫でているのでしょうか?
この記事では、その「犬を撫でる」という動作に注目して、セラピー犬はどのような撫で方をされているのかを紹介したいと思います。
ドッグセラピーについてご存知の方はもちろん、これからドッグセラピーの世界に足を踏み入れたい方にも知っておいていただきたい「犬の触れ方」について紹介したいと思います。
ふれあいの効果

ドッグセラピーには、健康状態向上の治療を目的とした動物介在療法と、ふれあいなどにより心身を癒すなどの効果をもたらす動物介在活動があります。
どちらの場合も、セラピー犬とセラピーを受ける対象者との関わりが発生します。
そして、その関わりの1つの手段として、セラピー犬とのふれあい活動が多用されていて、実際に対象者が犬に触れたり、膝の上に乗せて抱っこをするなどの行動があります。
犬が好きな方なら、目の前に犬がいれば見ているだけでも可愛らしく癒されけど、触れたくなる気持ちは共感できるのではないでしょうか?
犬に触れることで、犬の温もりを直接感じることができ、ストレスや不安、孤独感が軽減し、心と身体を安定させる効果をより高く得られることができます。
犬とのふれあいによる癒し効果は、科学的にも証明されています。
犬とふれあうことで、オキシトシンやセロトニンという幸せホルモンと呼ばれる物質が分泌されます。
オキシトシンはスキンシップにより分泌が促進されることが多くの研究結果から分かっています。
これらの物質は疲労感やストレスを軽減する作用があり、犬とのふれあいが心身の安定につながることが分かります。
色々な犬の触り方

犬に触れることは、ドッグセラピーの対象者の心身の安定につながります。
「犬に触れる」と言っても、ドッグセラピーの現場では実に様々な方法で触れている様子を見かけますので、よく見られる触り方を紹介していきます。
掌で触れる
よく見られる触れ方は、掌で触れる方法です。
①毛の流れに沿って撫でる
介護老人保健施設(老健)などに訪問すると、ご利用者様が掌で犬の頭や背中を優しく撫でてくれることがあります。
犬に対して恐怖感がなく、飼育経験のある方だと、掌で毛の方向に沿って犬を撫でてくださる方が多い傾向があります。
プードルの尻尾など、丸くカットされているような毛の場合は、掌で優しく包むように触れる様子もよくみられます。
このようなふれあい方であれば、大型犬から小型犬まで安心して見守っていることができますね。
②撫でまわす
同じ掌を使う撫で方でも、犬の顔の辺りを中心にかき回すような手つきで撫でようとする対象者もいます。
おそらく、飼い犬に対してそのような手つきで可愛がられていたのではないかと思われます。
愛情を込めた動作なので、犬に大きなストレスにならないように配慮して受け入れたい能動行為です。
③毛の方向に逆らって撫でる
また、毛に逆らった方向に手を動かして撫でる対象者もいらっしゃいます。
毛に逆らう触感が好みであったり、撫でているうちに好奇心がわくのか、そのような撫で方も散見します。
毛に逆らって撫でる際は、手の動きはゆっくりで、対象者本人はややぼんやりされていることが多い印象です。
④手の甲で撫でる

上の画像では、ふたりの対象者が同時に犬の頭を撫でています。
ひとりは掌側で撫でていますが、ひとりは手の甲側で撫でています。
このように、手の甲を使って犬の頭を撫でる対象者もいらっしゃいます。
手の甲を使われるときは、犬の体を撫でることはあまりなく、そのほとんどが頭周辺でした。
⑤瞬間的にタッチする
掌で犬の頭を中心にタッチする触り方も時々見かけます。
一見、頭を叩いているかのようにも見えますが、ご本人にそのような意識はなく、犬の適切な撫で方が分からないが触りたいという対象者に多く見られる触り方です。
犬への恐怖心もある場合は、時間をかけて適切な撫で方に誘導することも可能です。
指で触れる

掌全体で触れずに、指先のみで触れる様子も頻繁にみられます。
①指1本で触れる
そこまで犬に関心がないが、何となく犬を構おうとする気持ちがあるような対象者の場合、指1本で犬に触れる動作がよくみられます。
そのまま指1本で触れていただいても良いですし、恐怖心がないようであれば掌など他の方法でも触れることをお伝えしても良いかもしれないですね。
②指で押す
小さい子どもや障害のある対象者の場合、そのまま毛の表面を撫でるだけのこともありますが、指を押し込む動作に変化することもあります。
犬への適切な接し方をお伝えして、犬と対象者の双方にストレスがかからないような交流を促していきたいですね。
③指でつまむ
指で毛を弄っているうちに、毛を指でつまむ動作に繋がることもあります。
特に長毛種は毛をつまみやすいこともあり、複数の指で毛をつまんで指に絡めるような動作をすることがあります。
障害者への調査の中では、特に男性の対象者が長毛種の犬の毛に触れることを好んで行うという実験報告も耳にしたことがあります。
犬の毛の感触を好意的に受け止めた結果の行動と考えられますが、そのまま毛を引っ張ってしまうことのないように、セラピストは注意深く見守っていきたいですね。
④指でとかす
対象者が複数の指を使って、犬の毛をとかすような動作をすることが時折みられます。
こちらも長毛種でみられることがありますが、ドッグセラピーを行う際は事前にブラッシングをしていると思われますので、指が引っかかることなくとかし、その感触を心地良くかんじられることが多いでしょう。
顔を近づける
犬に触れるときに、「手」以外の部位で触れることもあります。
その中でも一番といっても過言ではないほど頻繁にみられるのが、顔面を近づける行為です。
大型犬であれば、座っている、もしくは横になっている犬に抱き着くような体制で対象者が犬に顔を寄せ、小型犬であれば膝の上に抱っこした犬に対して頬を寄せる形で行われることが多いです。
自身の頬を犬の毛に寄せたり、頬周辺を埋めて擦りつける動作をすることで、最大限に犬への愛情を示しているのでしょう。
犬が大好きな対象者が行う行動なので、長時間行われることが多いことも特徴のひとつです。
触る部位について
こちらは番外編になるのかもしれないですが、対象者が犬のどこに触れるかを観察していると、頭、背中、お腹が多く撫でられますが、それ以外の場所も意外と多くあります。
あくまで、しっかりとした統計データではなく、現場で見ていてmamioが感じたことです。
①前足

比較的、犬の顔の近くに前足があるから撫でやすいのかもしれませんが、前足は触れられることが多いです。
膝の上で抱っこしている犬の前足を掌で包み込むようにしたり、ベッド上で添い寝している犬の前足を撫でる様子が多いです。
また、犬に何か芸をさせる際に、真っ先に皆が行うのは「お手」です。
お手をして、そのまま前足を軽く握りながらふれあうことも、しばしばあります。
②耳

犬の耳も軽く握られることが多い印象です。
この画像は立ち耳の犬ではありますが、垂れ耳の犬だと触りやすいため、毛の感触を確かめるように撫でてもらうことが多いです。
立ち耳の犬の場合、軽く耳を折ってから手を離すと、耳が元の形にすぐ戻ります。
そのような行為を繰り返し行っていることも多い気がします。
③口周辺から顎の下
犬に慣れている方だと、犬の口(マズル)を積極的に触ろうとする対象者も多く、最初はそのことに驚きました。
鼻を触って、しっかり湿っていることを確かめる方もいらっしゃり、ご自身で飼育していたときのことを思い出されているようでした。
また、猫を飼われていた方は、「犬も顎の下は好きかな?」と確かめるように、顎の下を撫でられる方も多くいらっしゃいました。

ちなみに、mamioの犬は対象者の手の上に顎や顔を乗せさせてもらって寛ぐのが好きなので、画像のような状態が多かったです。
まとめ

この記事で紹介したように、ドッグセラピー現場では、実に様々な犬への触れ方が存在します。
これからドッグセラピーの現場に出るためにセラピー犬を育てられている方は、是非、様々な触り方に犬が慣れるようにトレーニングしていくと、現場でスムーズに活動ができると思います。
愛犬をセラピー犬として育てたいと考えている方は、コチラの記事も参考にしてください。
人の数だけ、犬の撫で方もある。そのような心持でい、現場で起こり得る予想外な状況にも臨機応変に対応して、犬も対象者も、そしてセラピストも気持ちよく過ごせる空間を作れると素晴らしいですよね。