世界の中で、日本はペット後進国といわれていますが、日本でも動物に関する法律が整備されるなど、少しずつペットに対する国民の意識が変わってきています。
では、ペット先進国といわれる諸外国では、どのような法律があるのでしょうか?
国が変わればペットの考え方も様々で、日本人からすると、ちょっと変わった法律も存在します。
各国のペットに関する法律を紹介します。
イタリア
イタリアのトリノでは、1日に3回以上犬の散歩をしないと、500ユーロの罰金が科せられます。
ちなみに、2022年7月現在、1ユーロは約139円なので、500ユーロだと69,500円で、なかなかの高額ですね。
また、
・バイクや自転車での散歩は禁止で、徒歩で行わなければいけない
・散歩で疲れさせすぎてはいけない
・ペットの毛を染めたり、尻尾を切断するのは禁止
などの細かい決まりがあるそうです。
この条例は、イタリア国内で大量の捨て犬捨て猫が問題となり、2005年にトリノで制定されました。
イタリアでは、元から動物虐待を禁止する法律はありましたが、より具体的な決まりにすることで、しっかりペットを守ろうとしています。
ドイツ
動物愛護に力を入れているドイツでは、犬の飼育に関しても細かい決まりがあります。
飼育するときには、必ず犬小屋を用意し、その広さや素材についても決まりがあります。
また、散歩や運動の時間や、使用するリードの長さについても決まりがあります。
さらに、長時間犬だけで留守番させることも禁止されていて、1日のうちに犬と一緒に過ごさなくてはいけない時間が決められています。
毎日仕事で残業ばかり、なんていう状態では、ドイツではすぐに通報されてしまいますね。
ドイツの動物愛護で有名なのは、「ティアハイム」という保護犬猫収容施設です。
ティアハイムは民間の施設ですが、多額の寄付金と多数のボランティアにより運営が支えられています。
基本的に保護動物の殺処分は行わず、里親希望者に譲渡されます。
ドイツでは、ペットを購入するのではなく、保護施設から引き取る習慣があります。
フランス
2024年から、ペットショップでの犬、猫の販売が禁止になります。
新たに犬や猫を飼育したい場合は、認定を受けたブリーダーからの購入、保護団体や個人での譲渡を利用することになります。
また、飼育する一般の飼い主に対しても決まりがあります。
・新しく買い始める人は認定証を取得する必要がある
・未成年が動物を購入する際には、保護者の許可が必要となる
ペットの購入にまで一歩踏み込んだ、動物愛護のための厳しい規制となります。
ちなみに、フランスでは、物件探しをするときに「ペット可」物件を探す必要がありません。
なぜなら、法律でペット不可の物件を禁止しているからです。
日本では集合住宅でペット可物件を探すのには苦労しますよね。
フランスでは、そんな心配をしなくてよいのはうらやましい限りですね。
スウェーデン
スウェーデンのペットに関する法律は、犬の飼育方法について細かい部分まで決められています。
・少なくとも1日2回は人が犬の様子を見ること
・6時間以上、犬だけで置き去りにしてはいけない
・犬をケージに入れたまま過ごさせてはいけない(ドッグショー、輸送などの例外あり)
・室内で繋ぎ飼いして飼ってはいけない。(屋外でも2時間以上は禁止)
・動物の自然な行動を損なわずに飼う
・室内飼いの犬は定期的に外で排泄をさせる。庭つき犬舎で飼われている犬は、犬舎外で排泄させること
・社会的な接触を必ず与え、犬を満足させること
スウェーデンの法律は、犬が犬らしく生きることを尊重する、人間でいう「人権尊重」を重視していて、日本とは全然違う着眼点になっています。
カナダ
カナダでは、州によって条例が違いますが、犬や、人間との安全な暮らしを守るための決まりが様々あります。
・繋ぎ飼いを1時間以上してはいけない
・犬を繋ぐ鎖などの長さは3m以上ないといけない
・庭に犬を繋いだ状態で、飲み水がない状態ではいけない
・買い物の間だけでも、犬を車に残しておいてはいけない
・犬に繋ぐリードの長さは2m以内にすること
・チョークカラー、チョークチェーンの使用は禁止
・暑さ寒さから守るため、出来る限り犬は室内に入れること
など、具体的な決まりになっています。
飼育する前に、こういう決まりを知っておくと、どのように飼うべきか分かりやすくて参考になります。
アメリカ
アメリカは州ごとに様々な法律があります。
・飼い犬を15分以上吠えさせてはいけない(イリノイ州・ノースブリック)
・24時間、犬の食事や排泄の世話をしないでいると虐待の罪になる
・犬を3時間以上繋いだままにするのは動物虐待の罪になる
・車の中で犬を待たせる行為は禁止
・犬を車の上に縛り付ける行為は禁止(アラスカ州・アンカレッジ)
・犬にウィスキーを与えてはいけない(イリノイ州・シカゴ)
・犬に向かって変顔してはいけない(オクラホマ州)
最初の4つの決まりは、犬を守るため、犬と人との共生のための法律であることは分かりますが、最後の3つはアメリカンジョークでしょうか?
日本で、このような決まりを立案したら、袋叩きにあいそうな内容ばかりで驚かされます。
日本
最後に、日本の法律についても簡単に紹介します。
日本にあるペット関連の法律といえば、「狂犬病予防法」、「動物の愛護及び管理に関する法律」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
後者の法律は、2019年に一部が改正され、マイクロチップの義務化、動物虐待への罰則化
、生後56日(8週齢)以内の子犬の販売禁止などが定められました。
(柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬の日本犬6種については、専門に繁殖する業者が一般の飼い主に直接販売する場合は、生後49日を超えていれば良い、という特例が設けられています)
海外で行われているように、日本でもペットを守ろうとする動きが法整備により行われてます。
まとめ
世界には、ペットに関する条例がたくさんあります。
今回紹介したのは、ほんの一部ですが、動物を守るための具体的な内容のものから、日本では考えられないようなユニークなものもあります。
日本も含め、どこの国でもペットを大切にするための法律であることに変わりありません。
世界の条例を見ると、「長時間の繋ぎ飼いはしない」「クレートに長時間入れない」など、ペットの自由を確保するための決まりも多くあります。
国によっては、家の中の自由だけでなく、電車に一緒に乗れたり、飲食店に一緒に入れたり、自由が多い国もあります。
そういう自由を手に入れるためには、ただ可愛がるだけではなく、責任感を持ち、最低限の躾が求められます。
人と動物、どちらも大切に思い、守る社会が広がってくれるといいですね。