動物に関わる仕事は、やりがいも多く、人気の職業です。
資格が必要な仕事もありますが、資格がなくても目指せる職業もあります。
これから動物業界への就職・転職を考えている方に向けて、人気の動物関係の仕事について紹介します。
ドッグセラピストmamioが経験したことのある職業については、個人的な意見も載せますので、参考にしてくださいね。
動物に関わるお仕事
数ある動物のお仕事の中で、今回紹介したいのは、次の10個です。
・獣医師
・動物看護士
・トリマー
・訓練士
・ブリーダー
・動物理学療法士
・ハンドラー
・ペットショップ
・ペットシッター
・動物介在療法士
人気の職業から、まだこれから需要が伸びてきそうな職業までの10の職業について、紹介していきます。
獣医師
動物のお医者さんとして、動物の診察、治療、健康管理などを行います。
街の動物病院で働く獣医師は、主に一般家庭で飼育されているペット(犬・猫・鳥などの小動物)を対象に診察、手術、投薬、飼い主への説明やフォローを行っています。
獣医師の仕事は一般家庭の動物を診るだけではありません。
狭き門ではありますが、動物園や水族館の動物の健康管理や出産のケアをする獣医師もいます。
また、畜産農家の牛・豚・鶏・馬・ヒツジなどの動物の診療と病気の予防、衛生管理指導などをする畜産農家の専属医もあります。
いずれにしても、獣医師になるためには獣医学科のある大学で6年間学んだ後に、国家試験に合格する必要があります。
獣医学科の学校は、全国に17校しかないので、まずは大学に入学するための努力が必要です。
また、同じ獣医学部の中でも、大学によって力を入れている分野が異なります。
将来ペットの診療をしたいのか、研究職に就きたいのかを考えてから受験する大学を選ぶと、目標に近づきやすくなるかもしれません。
動物看護士
動物看護士は、主に動物病院で獣医師のサポートをしながら診療の補助をします。
治療がしやすいように動物の体を支えて保定したり、手術のサポートをします。
それ以外にも、受付対応、入院動物のお世話、検査など、患者である動物が安心できるようにサポートしたり、不安な飼い主に寄り添う存在です。
動物看護士を目指すには、動物看護の勉強ができる大学や専門学校に通い、技術や知識を身に着ける必要があります。
しかし、2023年から大きな変化があり、「愛玩動物看護士国家試験」という名称で、動物看護士が国家資格化されます。
「愛玩動物」が対象となっていて、犬や猫などペットとして飼育されている動物の看護業務に限定した国家資格です。
愛玩動物看護士国家試験に合格すると、これまで動物看護士には禁止されていた、採血や一部の投薬や採尿などの業務ができるようになります。
第一回 愛玩動物看護士国家試験は2023年2月19日(日)に実施されます。
愛玩動物看護師法に関するQ&A:農林水産省 (maff.go.jp)
現在学校に通っている方、これから入学する方だけでなく、動物看護に関する仕事に業務を5年以上経験している方も受験資格があります。
国家資格という信頼もあり、今後は就職・転職において非常に強い武器になるでしょう。
トリマー
トリマーは犬や猫などの動物の毛のカット、シャンプー、爪切りなど、身だしなみを整える、いわば美容師のような存在です。
ペットサロン、ペットショップ、動物病院などに就職するのが一般的で、しばらく経験を積んでから開業し、個人でトリマーとして活躍するケースもあります。
ペットサロンは、カットなどの高い技術を求められる職場で、トリミング技術の向上を目指したい方に向いています。
ペットショップは、お客さんの飼育動物のトリミングが主な仕事ですが、それ以外にも、販売動物の世話、店舗の管理、接客の仕事をすることがあります。
動物病院では、お客さんの飼育動物が高齢だったり、持病があったりと、通常のサロンでは受け入れられないような状態も多々あるので、動物の健康管理が重要になります。
その他の業務としては、動物看護士のように診察の補助や入院動物のお世話も必要となる可能性があります。
トリマーには国家資格はありませんが、トリマーとして活躍するためには技術と知識を身に着ける必要があります。
一般的にはトリマーの専門学校で、技術と知識を身に着けます。
カットの技術はもちろんですが、他にもシャンプー、ブラッシング、耳掃除、爪切りなどのケアについて学びます。
また、犬の病気、しつけ、栄養などの犬に関する知識や、接客に関する知識についても学びます。
訓練士
訓練士といっても、いくつかの種類があります。
大きく分けると、警察犬、盲導犬、災害救助犬、介助犬などの「ワーキングドッグの訓練士」、「一般家庭の動物を訓練士」、イルカなどの動物の「動物調教師」があります。
対象となる動物に必要なトレーニングをする仕事ですが、目的によって訓練内容が違ってきます。
例えば、介助犬訓練士の場合、新聞紙など指示された物を運んだり、空いている扉を閉めたり、日常の生活をサポートするための動作を教えます。
ですが、一般家庭犬の訓練士の場合は、スワレ、フセなどの基本的なトレーニングから、アジリティやドッグダンスといった上級者向けのトレーニング内容になります。
mamioも実習で家庭犬トレーナーとして勉強させてもらったことがありますが、犬の個性を見抜き、その犬にあった指導法を設定することが大切だと感じました。
どの訓練士になりたいかにより、勉強する場所が変わってきます。
警察犬や盲導犬などのワーキングドッグの訓練士を目指す場合は、各訓練士の協会や訓練所で数年の実技と知識の勉強が必要となります。
ちなみに、最近では、訓練所でも家庭犬のトレーニングについて学べるようになりました。
家庭犬の訓練士を目指す場合、訓練所以外にも、訓練士を養成するための専門学校や通信講座が複数あります。
イルカなどの動物の訓練士を目指す場合は専門学校に行く必要がありますが、学校の数が少ないだけでなく、就職先も少なく、狭き門です。
ブリーダー
ブリーダーは、犬や猫などの動物を飼育管理し、交配させ、繁殖させる仕事です。
常に出産や子育てをしているわけではなく、動物の体調管理、食事提供、シャンプー、犬舎の掃除が主な仕事内容になります。
そして、妊娠、出産、子育てを経て、ある程度まで育った子犬を販売します。
それだけではなく、犬舎に残った高齢犬のお世話も大切な仕事のひとつです。
生き物を育てるので、開業している場合には休みはありません。
ブリーダーになるために必要な資格や試験などは決められていませんが、専門知識が必要なので、働く前に専門学校などで勉強する人が多いです。
働くには、ブリーティング会社に就職するか、ブリーダーの元で学びながら働くか、開業する方法がありますが、ブリーダーとして開業するためには、「第一種動物取扱業」の登録を行う必要があります。
ちなみに、mamioはドッグセラピストになる前に、ブリーダーの元で勉強をしていました。
犬舎には数十頭の犬がいて、その全ての命を毎日管理することの大変さと責任感を学びました。
子犬がいたり、出産間近な犬がいたり、闘病中の犬がいたり、それぞれ違う状況の犬たちに適切なケアをする難しさを感じました。
お世話になったブリーダーさんは大ベテランで、この道数十年の方です。
交配した犬の組み合わせで、どんな色や大きさの個体が生まれるかを予想したり、母体のお腹を手で触るだけで子犬の頭数が予想できる熟練度でした。
とても大変な仕事ですが、無事に生まれてきた子犬たちに出会えることに、幸せを感じられる仕事だと思いました。
動物理学療法士
動物理学療法士は、犬などの動物にリハビリテーションをする仕事です。
怪我や病気で手術をした動物の、術後の管理と機能回復のためのリハビリや、高齢動物のケアと歩行などの運動機能を保つためのリハビリを行います。
日本では、まだあまり普及していないため、一部の動物病院などでしか求人がありませんが、将来性のある分野です。
人間のリハビリのための理学療法士は国家資格化されていますし、海外では動物理学療法士が国家資格化されているところもあります。
遠くない将来、日本でも国家資格化されるかもしれませんね。
動物理学療法士になるための資格は定められていませんが、動物関係の専門学校や大学によっては、授業で理学療法について学べるところもあります。
動物理学療法について学べる学校を探して勉強してから、動物病院などに就職するのが一般的です。
ハンドラー
ハンドラーは、ドッグショーに出陳する犬をサポートし、犬の美しさを引き出す仕事です。
ドッグショーは犬の姿形を審査する品評会で、全国から優秀な犬が集まってきます。
その中で好成績をおさめるために、プロのハンドラーが活躍します。
ドッグショー当日のハンドリングはもちろんですが、事前に犬のトレーニングをし、当日に備えて体調管理をし、美しくトリミングをします。
ハンドリングの際は、犬の様子をみながら、瞬時にテンションや歩行ペースを調整し、一番美しい犬を審査員にアピールします。
mamioは、ブリーダー業務の関係で、ハンドラー役を務めたことがあります。
ドッグショー本番前から、担当の犬の元に通って関係作りをし、当日にハンドリングしました。
そこで感じたのはプロのハンドラーの素晴らしさです。
犬からみなぎる自信と凛とした姿勢が素晴らしく、知っている犬なのに初めて会う犬のように感じられるほどでした。
トリミングも完璧で、その容姿の美しさにも感嘆の声があがるプロの技です。
ドッグショーの現場で、実力のあるハンドラーの技を直接見ると、とても勉強になるのでおすすめですよ。
ハンドラーを目指すには、ハンドラー養成学校に通うか、訓練所に入るか、プロのハンドラーの元で勉強させてもらうかの方法があります。
ハンドラーとして活躍するために取らなくてはいけない資格は決まっていませんが、顧客からの信頼を得るためには、公認ハンドラーの資格を取得しておくことをおすすめします。
ペットショップ
ペットショップは、犬や猫などの動物の販売・接客、健康管理、犬舎掃除、ペット用品の商品管理が主な仕事内容です。
子犬や子猫など月齢の低い動物が多いので、餌やり、排泄物の処理などの健康管理は非常に重要です。
また、販売をしなくては売り上げがあがらないので、接客も大切な仕事です。
お客さんに質問された時に的確に答えられるように、動物の知識は絶対必要で、それに加えて「飼いたい(買いたい)」と思わせる接客技術が求められます。
また、販売以外にも、ペットホテルもやっているお店も多いので、両方の職業の知識と技術を持っている方が就職に有利です。
アルバイトなら就職先は多く、動物関連の資格を持っていなくても、比較的簡単に働くことができます。
ただ、犬売り場の担当を希望しても、アクアリウム(魚)担当になるなど、希望通りにならないこともあります。
ペットシッター
ペットシッターは、一時的にペットの面倒がみられない状態の飼い主に代わって、飼い主の家でペットの面倒をみる仕事です。
ペットホテルと違い、慣れている自宅で留守番できるので、ペットへの負担が少ないと、人気上昇中のサービスです。
環境の変化がストレスになってしまう猫や、他の動物が嫌いな犬などが対象になることが多いです。
食事や水を与えたり、掃除をしたり、散歩をしたり、事前打ち合わせで決めた内容に沿って、ペットのお世話をします。
シッターによっては、爪切りなどのお手入れや、トレーニングを取り入れている業者もいます。
ペットシッターになるために、とらなくてはいけない資格はありませんが、ペットの世話ができることが大前提です。
ペットシッター会社に就職するか、ペットシッター派遣会社に登録すれば、ペットシッターとして働くことができます。
ですが、ペットシッターは指名制度を導入しているところが多いので、お客様に気に入ってもらえないと仕事がもらえません。
動物関連の学校を卒業していたり、ペットショップなどの職務経験があると優遇されます。
最近では、ペットシッターの人気を受けてペットシッター養成講座が増えているので、活用するのも手段のひとつです。
動物介在療法士
動物介在療法士は、アニマルセラピストとも呼ばれていて、動物を介して人間の心と身体の安定を促す、非薬物療法の専門家です。
mamioの専門分野は、この動物介在療法士です。
施設や病院にセラピー犬と一緒に訪問して、ふれあいや芸披露などで交流をします。
動物介在療法士は、対象となる方と犬などの動物との架け橋となる存在です。
対象となるのは、高齢者や障害をもっている方や子どもが多いですが、最近では福利厚生の一貫としてドッグセラピーを取り入れている企業の従業員というケースもあります。
日本では動物介在療法士としての仕事は非常に少なく、そのほとんどがボランティアで行われています。
小児科などで仕事として行われているところでは、動物介在療法士の専任ではなく、看護師など他の職業との兼任であることが多いです。
一部の動物介在療法を取り入れた団体や、病院で、専属の動物介在療法士がいます。
また、開業して、訓練士などの職業と兼任されている方もいます。
動物介在療法士を目指すために取得しなければいけない資格はありませんが、専門学校や大学で動物介在療法の勉強と、訓練やトリミングに関する知識も一緒に身に着けておいた方が就職に有利になります。
動物介在療法士(ドッグセラピスト)を目指す方は、コチラの記事を参考にしてください。
まとめ
犬などの動物に関わる10種類のお仕事を紹介しました。
現在のところ、決まった資格をもっていないといけないのは獣医師のみです。
それ以外の職業は、一部国家資格されているものもありますが、一度社会に出て働いた方でも、働きながら勉強することで転職することができます。
mamioも社会人として働きながら動物に関する仕事に転職した経緯があります。
「遅すぎる」ということは、ありません!
この記事が、動物業界を目指す方の参考になれば幸いです。
おまけ。
ライターのお仕事で、犬に関係する内容もありますよ。