高齢者へのドッグセラピーは全国で実施されており、多くの高齢者に良い影響をもたらしています。
ドッグセラピーをする方法は様々で、団体ごとに工夫をこらして対象者の方に提供しています。
ドッグセラピーを行うときに、犬に服を着せている方も多くいらっしゃるかと思います。
可愛い服を着た犬の姿は愛らしさが増して、それだけでも対象者の方に喜んでいただくことはできます。
でも、服の活用の仕方を工夫することでセラピー効果を向上させることができます。
ちなみに、ドッグセラピストmamioは、100着ほどの服を、シーンに合わせて活用していますよ。
本記事では、高齢者へのドッグセラピーに服をとりいれる方法と効果について紹介していきます。
ドッグセラピストmamioも普段から活用している方法なので、参考にしてみてくださいね。
ドッグセラピーと犬の服
ドッグセラピーで犬の服を使うことには、複数のメリットとデメリットがあります。
個別のドッグセラピーでも集団のドッグセラピーでも、同様のメリットとデメリットがあるので、ひとつずつ説明していきます。
ドッグセラピーに犬の服を使うメリット
犬の服は数多く販売されており、レインコートや防寒着などの機能を求めた服から、ワンピースや飼い主とお揃いの服などデザイン重視の服まで様々です。
犬の服をうまく活用できれば、ドッグセラピーで服を使うメリットがうまれます。
視覚的に「可愛い」と感じる効果
可愛い服を着た犬を「可愛い」と感じることは、高齢者だけでなく全ての人に共通する感覚です。
服を着ていなくても「可愛い」と言葉をいただくことが多いセラピー犬ですが、「服が似合っていて可愛い」と、変化を加えたお褒めの言葉をいただくようになりました。
ヒトは、ストレスを感じていたり疲れているときに、癒されるものを見ると心を安定させる効果のあるセロトニンが分泌されます。
犬が服を着ることで、さらにセロトニンの分泌を促せるかもしれませんね。
抜け毛の飛散防止効果
セラピー団体によっては、犬の抜け毛飛散防止目的で、服の着用を義務としているところもあります。
訪問先の衛生管理やアレルギー防止の観点では、すぐに対策できる方法なので重宝されています。
季節感の認識の補助効果
季節に合う服を着ることで、現在の季節や日付を確認してもらう効果が期待できます。
ドッグセラピーの訪問先が施設や病院である場合、高齢者の方は長期で施設暮らしをされている方も多くいらっしゃいます。
長く施設生活をしていると、日付の感覚が鈍っていき、今の季節さえ分からなくなりがちです。
特に認知症の方だと、日付や季節の感覚が薄れるなどの見当識障害の症状が早期にみられます。
そこで、季節に合わせた服を使えば、現在の季節や日付を認識してもらえます。
春には花や蜂などの柄、夏はスイカ柄や麦わら帽子などの小物、秋には七五三をイメージした和服、冬にはセーター、といった具合に、季節感を演出することができます。
季節や日付の認識をすることは、見当識障害に対するアプローチとしては有効ですが、そうでなくても日本の四季を感じることは楽しみのひとつにもなります。
回想法の効果
犬の服を見ることで回想法になることがあります。
高齢者が対象者なので、犬を飼っていた経験がある方でも、犬に服を着させていた方は少数派でしょう。
飼育していたのが子ども時代ともなると、ほぼ全ての方が「犬が服を着るの?」と驚かれます。
ですが、女性を中心に裁縫を経験している方がとても多く、服の細部まで気になって見られる方も多くいらっしゃいます。
犬の服を通じて、洋裁学校時代のエピソードを話すなど、回想法の効果があります。
回想法とは
回想法とは、心理療法のひとつで、過去の体験や思い出を話すことで、脳を活性化させる効果があります。
精神的な安定や、認知機能によい効果を与えることができると言われており、グループで行う集団回想法と、1対1で行う個別回想法があります。
ドッグセラピーに犬の服を使うデメリット
ドッグセラピーに犬の服を使うことは、状況によってはデメリットにもなる可能性があります。
デメリットがあるということを理解した上で、無理なく活用することをおすすめします。
服を着ること自体が負担になる
普段から服を着ることが好きではない犬にとっては、ドッグセラピーで服を着ることは負担に感じてしまいます。
普段の生活とは違い、ドッグセラピーでは慣れない場所に行くストレスもあるので、セラピー犬が嫌がるようなら服を無理強いするのは避けたいですね。
セラピー場が暑いと、服を着ることが負担になることがあります。
季節や会場によって変わってきますが、実際に複数の施設を訪問していると、とても暑く感じることがあります。
動きの少ない対象者にとっては快適な気温でも、セラピストにとっては暑くて不快に感じる気温です。
そのような条件で犬に服を着せるのは、大変なストレスになる可能性があります。
犬の毛の感触が伝わりにくい
ドッグセラピーの醍醐味のひとつは、犬の感触を直接感じてもらうことです。
ですが、犬が服を着ていると毛が隠れてしまい、対象者の方に犬の身体の感触が伝わりにくくなってしまいます。
犬とふれあうことで、心を安定させるホルモン「オキシトシン」が増えるとされています。
犬が服を着ていてもふれあうことはできますが、直接触れていただく方が、より犬の温もりが伝わりやすいです。
犬の服を活用する方法
せっかくの可愛い犬の服があっても、うまく活用できなければ効果は半減してしまいます。
そこで、個別のドッグセラピーと集団のドッグセラピーに分けて、服の活用方法を説明していきます。
個別のドッグセラピー
個別のドッグセラピーでは、ゆっくり時間をかけて犬の服を見てもらえます。
最初から服を着た状態で訪問していても、犬が着ている服を触りながら「ここはレースになっているね」「下地までついている」などと、細かい部分まで観察することができます。
服だけ単体で見ていただいてから、着替えをするのも良い方法です。
服にポケットなどの細かい飾りがついていると、それを使って犬との交流をふくらませることができるので便利です。
この服はハロウィンの時期に使用しているのですが、ジャックオーランタンの部分がポケットになっていて、中におやつなどを入れられるようになっています。
「オヤツくれないといたずらしちゃうぞ~」とハロウィンを楽しみながら、ポケットの中からおやつをとりだして与えてもらうことができます。
集団のドッグセラピー
集団のドッグセラピーでは、対象者の人数が20人以上と多い場合もあり、個々の対象者にゆっくり服を見せるのが難しくなります。
離れた場所から服を見る対象者もいるので、遠くから見ても分かりやすく華やかな印象の服の方が使いやすいです。
ドッグセラピストmamioが集団のドッグセラピーを行うときは、「刺繡のほどこされた赤いドレス」を、よく使用します。
赤いドレスが華やかで、パッと見た印象で目をひきますし、近くで見ても刺繍のデザインを観察して楽しめます。
ちなみに、この赤いドレスは女性より男性に人気があることが多いですよ。
着ている服とは別に、もう1着用意できると、対象者にじっくり見てもらえるので便利です。
まとめ
犬の服を着ることは、ドッグセラピーの場において、メリットにもデメリットにもなります。
服を着ることが苦手な犬に無理強いをするべきではなく、おススメできませんが、犬の服を使うことでセラピー効果を向上させることができます。
どのようなメリットを狙ってドッグセラピーをするのかを明確にして、活用してみてください。