施設や病院、教育機関など、多くの場所で日々レクリエーションが開催されています。
mamio自身も、たくさんのドッグレクリエーションを行う中で常々感じているのが、チームワークの大切さです。
1人で行うドッグセラピーとは違い、チームで行うドッグセラピーは利用者に届けられる印象や効果が大幅に向上します。
今回の記事では、ドッグセラピーレクリエーションの縁の下の力持ちとして、なくてはならない存在のサポート役に注目していきます。
どんなサポートをしているのか?を紹介することで、サポート役の大切さをお伝えできたら嬉しいです。
チームで行うことの意味

レクリエーションは、音楽を使ったものや、体操をメインに行うもの、脳トレを行うものなど、種類が豊富にあり、その中の1つとして、セラピー犬をメインに行うドッグセラピーがあります。
1頭のセラピー犬と、1人のドッグセラピストがいれば、ドッグレクリエーションを開催することは可能ですが、チームで行うことでより大きな効力を生むことができます。
チームでのメリット

ドッグレクリエーションをチームで行うことは、様々なメリットがあります。
参加者のフォロー
ドッグレクリエーションの参加人数が少なければ、チームでなくても大きな問題はありません。
ですが、対象者の人数が多い場合は、どうしても1人のセラピストでは行き届かないところが増えてしまいます。その効果が半減してしまい十分な満足感を感じてもらえなくなる可能性が高いです。
特に、人間だけで行うレクリエーションと異なり、常にセラピー犬のハンドリング作業が伴うドッグレクリエーションは、対象者のフォローまで1人でこなすのは大変難しい状況となります。
どのレクリエーションでも同じことが言えるとは思えますが、ドッグレクリエーションにおいても複数の人数でチームを組んで行う方が、サポート力を向上して、より多くの方にプログラムを楽しんでいただくことができます。
待ち時間の減少
1頭の犬が1か所で何かを披露する場合、遠方の対象者からは見えにくくなってしまいます。
1人でプログラムを行う場合は、複数個所に移動して同じ動きを何度か披露することもできますが、その間、遠方の席で参加している対象者にとっては待つ時間が発生してしまいます。
複数頭のセラピー犬がいれば、同時時複数個所で同じ動きを披露することができるので、参加者を待たせることがなくなり、集中力も持続しやすくなります。
例えば、長く低刺激の状態が続くと傾眠傾向になる方にとっては、目の前に集中できるセラピー犬がいることが、しっかりプログラムに参加するきっかけになる可能性があります。
豊富なバリエーション
1頭だけで行うプログラムより、複数頭のセラピー犬がいた方がバリエーションを豊かにすることができます。
2頭の犬で競争をするプログラムにすると、どちらが勝負に勝つのか予想をしたり、どちらかを応援していただいたりすることで、参加型のプログラムを取り入れやすくなります。
チームでの役割分担
ドッグレクリエーションをチームで行う時には、役割を決めて行うようにします。
プログラムの構成によって役割は変化しますが、大きく分けると下記の3つの役割が発生します。
①司会進行
②サブ
③物品
これらの役割がうまく機能することで、レクリエーションの質を大幅に向上させることができます。
①司会進行
プログラムの進行を管理する役を担い、司会者として集団全体にアナウンスを行います。
チームの人数が多ければ司会進行の役だけを実施できますが、そこまで人数がいない場合は司会をしながらセラピー犬のハンドリングを行うことが多いです。
集団全体を把握しながら司会をするためにも、パートナーのセラピー犬には「マテ」をさせておくと良いでしょう。
司会者の話し方によって、会の雰囲気が大きく左右されます。
参加者の雰囲気に合わせて、しっかり盛り上げていきたいのか、ゆったりとした雰囲気にしたいのかを考慮した進行を心がけると良いでしょう。
治療の観点から積極的に関わりを多くしたい対象者などがいれば、司会者の立ち回り方で大きく変えることができるのもポイントです。
②サブ
司会進行に合わせて、プログラム全体をサポートする役の縁の下の力持ち的存在です。
サブの役をやりながらセラピー犬のハンドリングを行うこともあります。
プログラムを進行する中で様々なサポートが必要となっていきますが、基本的には司会進行者の動きのフォローと、対象者のフォローは必要になることが多いです。
司会進行者は集団全体を把握するために、プログラム中は集団の前にいて話をしていることが多くなるので、サブのフォローがあると大変助かります。
進行に合わせてセラピー犬のデモンストレーションを見せたり、理解を深めるために大事なポイントを繰り返し伝えるなどして進行を助けていきます。
また、個別のフォローが必要な対象者がいる場合、サブが対応することで、その方がドッグレクリエーションに参加する意義を向上させられるだけでなく、プログラム全体が円滑に進行できるようにもなります。
サブの役は、進行の状態に合わせて対象者の様子を観察しながら、臨機応変に動くことが大事です。
③物品
プログラムの内容により物品の量は大きく変わりますが、何かしらの物品は発生することがほとんどだと思います。
大きな物品としては、セラピー犬が乗るための台があります。
台を使用しないプログラムもあると思いますが、集団が大きい場合には、台の上にセラピー犬が乗ることで視認性を向上することができます。
また、あらかじめ台を設置しておくと、セラピー犬が何かを披露する場所を把握しやすいので、対象者としても注目しやすくなるメリットがあります。

mamioの場合、小型犬を同行させることが多いので、集団の2列目の方にも見やすくなるように少し高めの台の上にセラピー犬を乗せるようにしています。
もちろん、セラピー犬の大きな動きを見てもらう時には台から降りて披露していますよ。
また、音源などの機材を持ち込める場合には、その操作役も物品担当が行えるとスムーズです。
サポート役の大切さについて

先に紹介した役割分担のように、サポート役には司会進行以外の「サブ」や「物品」の役割があります。
もちろん、プログラムの内容によっては他のサポート役が発生することもありますが、その全てがうまく機能することで、より良いレクリエーションを実施できます。
サポートなしでのドッグレクリエーション
プログラム全体の雰囲気を作る大きな役割は司会進行役ですが、サポートなしでは限界があります。
実際にmamioも1人でドッグレクリエーションを行ったことが何度かあります。
50名近くの参加者に対して、mamio1人のドッグセラピストとパートナー犬1頭という形で実施しましたが、十分な楽しみを届けるのは非常に難しく感じた経験があります。
もちろん1人でもしっかりこなせる素晴らしいセラピストさんはいらっしゃると思いますので、あくまでmamioの個人的な感想とのことで目を通していただきたいと思います。
施設に訪問してセラピー会場に移動すると、既に参加者並んでがお待ちいただけていました。
施設の職員さんのお手伝いもありましたが、その状態から皆様に挨拶をしながらセラピー犬の乗る台を設置する準備の時間が発生し、いきなりお待たせしてしまうことがありました。
また、1人で司会進行をしながら、耳の不自由な方に向けて大きな声でフォローをするのは至難の業で、後半には声が枯れてきてしまい申し訳なかったこともありました。
それから、最大の問題と言っても過言ではないのが、セラピー犬とのふれあいの時間です。
ドッグレクリエーションに参加される方は、見るだけでなくセラピー犬とのふれあいの時間も楽しみにされています。
セラピスト側から一方的に発信するショーの様な形だけであれば、まだよいのですが、ふれあいともなると難易度はあがります。
お1人ずつ順番に触れていただくとなると、セラピー犬から離れた場所にいる方にとっては、ただの待ち時間になってしまいます。その待ち時間が10分以上ともなると、眠くなってしまっても仕方のない状況です。
こんな時に複数頭のセラピー犬がいれば、別の場所に座る対象者にも同時に楽しんでいただけるのに…。
このような形で、痒いところに手が届かないような感じで、「ここをフォローしたい!」と思っていても、そこに行くことができないもどかしさがあり、1人で行うプログラムには難しさを感じることが多々ありました。
チーム力を活かす
ここまで、1人で行うことで感じる限界について、個人的な経験も交えて紹介してきましたが、ドッグレクリエーションを複数のメンバーが適切に動くことができると、レクリエーションの質を向上させることができます。
プログラム検討段階においても、メンバー同士で意見交換しながらバリエーション豊かな構成を組むことができるので、視点を変えて取り組みができる良い機会になります。
プログラムの概要が決まったら、その内容に合わせて司会進行役とサブの配置を決めて、参加者全員をフォローできる体制を整えていきます。
参加者の様子があまり分からない状態であれば、全体を均一にフォローできる状態にしておくと安心ですが、参加者の精神的・身体的状態を把握した上で個別のフォローが必要だと分かっているのであれば、参加者の並び順から決めて、サブの人が入りやすいようにしておきたいところです。
準備段階で各役割の動きをお互いに把握できていると、プログラムを安心して進行することができますし、不測の事態が発生した際のフォローも行いやすくなります。
そのためには、お互いの動きと役割を把握しておくことと、当日のお互いの動きを確認し合うことが大切です。
自分の役割をしっかりこなすのは大切ですが、トラブルが発生した時に助け合える状態にしておけることがベストです。
レクリエーションを成功させるために、参加者はもちろんセラピー犬も怪我などないように配慮していきましょう。
チーム力を高め、チーム内外でフォローの手を広げることができれば、そのプログラムは多くの参加者の満足度向上につながります。
